夜明け前より瑠璃色な -Brighter than dawning blue- 感想10 夜明け前より瑠璃色なルート
最終ルートクリアしました。
期待を裏切らないいい話でした。
FAとは違い、最初のルートとは別みたくならず、フィーナルートの続きから始まる。
地味に最初の紙飛行機関連のが好きだったり。
フィーナの母、セフィリアが遺跡調査により失脚したことを知ってたフィーナは母の汚名を晴らそうと、遺跡を調べようとする。
しかし、なぜか月に行ったはずのカレンが戻ってきていたり、傷だらけのリースを見つけたりと風向きが変わりだす。
カレン曰く、セフィリアが探していたのは兵器で、そのまま探すのを続けるとフィーナの立場が危なくなると言って、止めようとする。フィーナは迷わず断るが、達哉はフィーナが苦しい立場になることと、フィーナの味方でいたいという間で気持ちが揺れて、答えられない。
そのまま悩む達哉は、さやかにもし月と地球が戦争になったらどうするか尋ねると
「大切なものを守るわ、誰を裏切ることになっても」
と答えられる。
非常にさやからしい言葉でした。実際、もしそうなったら本気で彼女はそれを選ぶのは間違いないですからね。それと同時に彼女は大切なものをよく知っている、そういうことかなと。
さらに、自分も月と地球のどちらを優先するか迷うことがあると言ってそれでもどうすれば、二つの星の理想に近づけるのかを考えると。
「物事を動かすのは人、人を動かすのは理想よ」
そして、達哉の理想は何なのかも尋ねて、考えてみる。それを見て、以前のカレンの言葉を思い出す。
年長者がアドバイスを残してくれる、背中を押してくれる、最初のフィーナルートのときと同じで、やはり大切なものを知っているからなのでしょうね。
その日、行方不明になった父、千春の夢を見る。
前日から引き続き、ぎくしゃくしたままの二人を見て、達哉に
麻衣に
「フィーナさんのたった一人の人になりたいなら他の人でも分かることを言っても仕方ないよフィアンセなら、フィーナさんといっしょにいて支えてあげないと」
と支えてあげるように叱咤され
リースに
「時代を変える決断の多くは、周囲に理解されない。でも、一人でできることには限りがある」
何かをやるためには一人では難しいというような感じのことを言われ
左門に
「人間、裏切られる人よりも、信じるのを諦める人の方が多いってことさ。信じるのは、とても根性が要る、疲れる。リスクも高い。だからある程度大人になると、中途半端にしか人を信じなくなる」
「だが、恋人相手にそれはダメだ。どんなに相手を疑いたくなっても、歯を食いしばって相手を信じなきゃダメだ。逆に言えば、それができたヤツだけが相手に選ばれるのさ」
信じることの大切さを伝えられ、
仁に
「一度好きになったら、細かいことは考えないに限るね」
(中略)
「この際だから、行けるところまで行くといい」
と、ただひたすらに前に進むよう後押ししされ、
信じられる人は、信じなくてはいけない人はすぐそばにいるフィーナだと気づかされる。
それぞれの言葉1つ1つに暖かさがあり、そばにいる人たちの優しさが感じられました。
さらにミアから、セフィリアがフィーナとともにいられないときが多かったことを悔いていて、逆にフィーナはそれを自分が仕事ができないからだったと思いこんでいたことを聞かされ
「わたしから、一つわがままを言ってもよろしいでしょうか?」
「姫さまとずっと一緒にいてください。わたしに癒すことのできない姫さまのお心を、救って差し上げてください」
と頼まれる。そして、ミアはフィーナに話を聞くように説得しにいくと。
小さいのに、フィーナを大切に思うからこそ、ただそばにいるだけでなく、正すべきところは伝えるミアの強さが感じられました。
その後ろでさやかがリースに仲直りするかどうかの話をしているところが何気にほほえましかったりも。
翌朝、ミアの様子から話は上手くいったのだと感じるが、しかし出かけたフィーナが戻ってこない。
探しに行ったところ、遺跡で彼女を発見する。
そこで、フィーナ自身にも喧嘩になったことに自責の念があることを知り、お互いの気持ちを確認しあい、和解する。
帰ったところ、リースが家族に加わることに。二人が仲直りするかでさやかと賭けをして負けた結果と。
本人は無効を主張するが、なんだかんだでうれしそうだったり。
達哉とフィーナが調査を続ける途中、調査をやめるようにと黒服に襲われ、危機に陥るが、何者かの助けにより2人は難を逃れる。
助けた何者かは
「勇気があるのは……悪くない」
と言い残して。
上のことでフィーナはカレンに抗議の電話をかけるが、もはやカレンを通り越して命令が動いており、危険だからとまた止められる。
さらに、そこまでしてフィーナの父親である国王が止めようとするのはセフィリアを愛していたから、同じことになってほしくないと、昔セフィリアのために戦わなかったのは、フィーナがいたからと。
予想外のところで父の気持ちを知ったフィーナは、逆にそれで父と母がそれぞれ託そうとしてくれているものがあることに気づき、調査を続けることを決意する。
そのまま資料探しを続けるうちに、達哉の父、千春が書いた本が見つかったり、ふとしたことで紙飛行機を作ることになったりで、千春に関わることがかなり起きる。
その際、フィーナが作った紙飛行機が、達哉と同じもの=千春が考えたものであったことをきっかけに、千春が月に行き、記憶を失って死んだことを知る。
さらに、彼は達哉との絆である紙飛行機のことは記憶を失っても忘れなかったということも。
達哉は憎んでいたはずの父の死をそこで初めて悲しく思い、本当は『もっと遊ぼう』と言いたかったのだと気づく。
自分はフィーナと同じ理由で、逆の感情を親に抱いていたのだとも。
さらに母、琴子は千春の応援ができて、願いが叶ったことを喜んだだろうと、そして死因も過労ではなく、肝臓ガンであり、それを千春に伝えなかったのであろうと、さやかから聞かされ、胸に熱いものが込み上げ、さらに父親に好きになれる。
正直父親のエピソードをだすのでしたら、もうちょっとあってもよかったかなともここは思ったり。ただ、達哉の方の家族としてのテーマはさやかや麻衣で十分に出ているし、仕方ないかもしれません。それにこのことが物語を進めてくれているのも確かですし。
達哉はフィーナとともに、千春の部屋に入り、フィーナとのことを伝える中、遺跡について移動装置ではないかという考えと、その場所が書かれたものを見つける。
二人は互いの理想が同じで、そのために必要なものを親が残してくれているということを思う。
そんな中、カレンが強制的に月に連れ戻されることになって...
以前聞いた声とカレンからのメッセージで2人は黒服に襲われた時助けてくれたのがリースだと気づき、助けてくれるように頼む。
そして、出発の時
思えば、俺たちの周りには、いつもみんながいてくれた。
嬉しい時も、悲しい時も、辛い時も―――
みんなが側にいてくれた
だから俺たちは―――
こうして、出ていけるのだと思う
(中略)
姉さんも、
麻衣も、
ミアも、
菜月も、
おやっさんも、
仁さんも、
誰一人として、嫌な顔をしている人はいない。
俺の心に住むみんなは―――
笑ってくれている。
こんな人たちに囲まれて生きて来られたことが、とても嬉しい
胸が熱くなった。
(中略)
そして最後に……。
必ず帰ってくると、
余白一杯に書いた
みんなに手紙を書き残して、目的地に向かう。
ここにある通り、本当にみんな暖かく優しいいい人たちばかりで、こんな人たちが周りにいたら本当に幸せだろうなと思いました。
そして、トランスポーターにつくが、兵器の破壊を目的とするリースは移動装置を壊そうとする。
かつて、わざと狙いを外すことで兵器として使われたのだと。
「人が信じさせないのではないわ」「あなたが信じることを諦めたのよ」
「本当に人を信じられないなら、見捨てるのはどうかしら?」
「でも、理想が無ければ人は動かせないわ」「それに、くじけそうになった時、人を支えるのも理想よ」
とフィーナはリースに訴えかける。彼女が本当は人を信じたいと思っていると感じて。最後の理想の下りは達哉に対して言ったものですが、さやかの言葉も思い出されて皆の大切なものが繋がっていく気がしてよかったですね。
「どんなことも、時を経れば薄くなる」「理想も悲劇の記憶も、みな薄まってしまう」
と納得しないリースに
「間違いの目を先回りして摘んでいくのは、短い目で見ればいいかもしれない」「けどそれは、人が自力で進む力を奪っているだけだ」「自力で進めない人は、何も築けない」
と達哉も続け、リースはようやく受け入れる。
途中に左門やカレンなどの言葉の回想なども入ってきたのもいい感じでした。
リースが月に向かい、達哉たちを転送装置で迎えることにする。
そして、転送装置を起動するが、周りには黒服達がいて、フィーナがドレスなこともあり、逃げ切れない。そう思われた時、
「ここはお任せください」
と月に帰ったはずのカレンが現れて、黒服を足止めする。
なぜここにいるのかと問われると、
「誰にも気づかれず、船に乗るものがいるなら、その逆もいるということです」
と答え、
「さあっ」
と二人を送り出す。
微妙に歌詞があっていない部分がある気もするけれど、それを補ってLapis Lazuliとカレンの組み合わせが格好良すぎる。
それをさやか、麻衣、ミア、エステルが家から見送っていた。
ちなみにエステルがいたのはカレンに頼まれて彼女たちを守りに来ていたと。
カレンの台詞や、エステルがロストテクノロジーを彼女がエステルに手渡されたことを考えると、リースとカレンは船内であっていたりしたのかな?
月に着くと、リースと別れ、フィーナと達哉は二人で月の城に向かう。
セフィリアの名誉を取り戻すために、彼女が探していたのは移動装置だったと伝える。その際に
「達哉、私は隠し事をしようとは思っていないわ」「本気で立ち向かうとは、そういうことでしょう?」
と兵器として使われたことも一切隠すことはせずに。
結果、1つ目の目的を達成する。
さらに、移動装置を使い地球との連絡港を開くように求める。
国王の
「平和を壊すのは簡単だが、作り上げるのは難しい」
を初め、当然のごとく反対意見が続く。
それに対して、
「知らないものに恐怖を感じるのは自然なことです」
などと互いに理解しあうことの大切さを主張する。
さらに
「口ではいくらでも優れた意見を言うことができよう」「だが、そこに態度が伴わねば、誰もお前についてくることはない」「規則を守らぬ者が、規則についていくら立派な意見を述べても理解はされまい」
と言われるが
「誰に理解されずとも、貫き通さねばならないものがあります」
「……周囲の意見に耳を傾けるのは、もちろん大切です」「ですが、自分の中の譲れないものまで、周囲に任せてしまっては……」「真実を見失うこともあります」
「どうか父様、私から考える機会を奪わないで下さい」
そう訴えて、最終的に皆から賛成を得る。
会議の終了後、よくここまで成長したという父ライオネスに
「たくさんの人に支えられて初めて、今の私がいるのです」
と答える。それがこの物語の本質でしょう。この物語では直接二人に関わった部分やそうでないなどの違いはあるにしろ、登場人物が一人欠けるだけで彼らはここにたどり着けなかったのかもしれないのですから。
客室で月を眺める二人。カレンに認められたときのそれを思い出す達哉にフィーナは
「今の地球は、あの日の空より瑠璃色に輝いている気がするわ」
と答えた。
そして、8年後の結婚式。
「彼らより、一番前に座るのにふさわしい人はいないわ」
と主な登場人物たちを最前列に迎え、結婚式を迎え、自分にはフィーナがいると達哉が再確認したところで、月から帰還後に取った写真が画面に出て終わりと。
全体的な感想としては綺麗にまとまっていたかなと。
無理のない感じで残っていたすべての問題も解決したといった感じですし。
ただ、惜しむらくは最後があっけないかなと。
まだまだこれからかと思ったところから一気に月に行って、説得して終わりですし。
後、フィアッカの出番がほとんどなかったこともかな。
正直、まだそれなりに出番があるだろうと思っていましたので。
逆にこれ以外に特に不満がないということですので、それらを差し引いても十分にお釣りが来るかなと。