夜明け前より瑠璃色な -Brighter than dawning blue- 感想5 エステルルート

エステルルート終了。

うん、エステル最高です。

特に犬と遊びたいのを達哉の前で我慢しているときとか、本当かわいすぎると。

そして、犬と遊び始めると...

この物語の大きな問題であった月人が地球人を嫌っているという話。
これも今のところ他のルートでは出てきていないことだと。

リースかトゥルーで出るかどうかだと思うので今できる個別だとこれが唯一かな。

それに悩みながらも、エステルが断れない方向に持っていったり、さやかのアドバイスを受けたり、カレンが場をつないだり、翠が頼んだ礼拝堂の見学の企画を進めたりと少しずつ距離を縮めていく。

しかし、受け入れてもらえそうになったところで、事件発生。

興味本位で礼拝堂を覗きに来た人たちのせいでエステルが耐えきれなくなり、地球人を信頼していく自信をなくしてしまう。

さらに、彼女の元々の希望であった外務局に誘われたり、生まれが判明したりと。
前者は生まれのせいで一度否定されたものをカレンやフィーナと話していたりするのをみて誘われたという今までの努力が否定されかねない理由で。後者はエステルが月人と地球人のハーフだということ。

もはや彼女は精神的にボロボロに...


達哉は心配していくが、その心に届きそうで届かない。

そこで彼女を立ち直らせる最初のきっかけが翠たちクラスのメンバーがおった千羽鶴
ここ軽く涙腺が緩みそうになりました。いいやつら過ぎる。

1クラス40人だとしても、1人25個。実際に作ったことがあるのですが、千羽鶴を作るのは簡単なことではありません。

クラスメイトが心から彼女を心配しているという想いがエステルに届く。


でも、それでも彼女は迷う。

今まで嫌っていた地球人たちの優しさを都合がよくなれば受け入れるのは、自分を孤児だということで弾いた外務局と同じではないかと。今までの自分なら突き返すべきでしょうと。

そこで達哉の言葉もよかった。

「つまり今は変わった。それでいいじゃないですか」

過去の良しあしを決めるのは自分ではなく、今をどれだけ大切に生きているかだと。カレンがいったその言葉をエステルに伝える。

それでも自分は一人になったら何も残らない空っぽのマネキンだと言う彼女に

「人間、そう簡単に一人になんかなれません」

みんな心配している。そして、モーリッツさんはそれで痩せてくるほど。そして、自分の中には常にエステルがいると。


その翌日、最後まで迷う彼女は自分の原点を思い出す。

モーリッツのようなあったかい、みんなに感謝される人になりたかったのだと。


そして、見学会本番。軽いトラブルがありながらも、順調に進む中、触れないはずだった月と地球の戦争の勝敗について、彼女が触れる。達哉はあせるが、エステルはそれぞれの立場から見方が違い、へだたりがあるので なくしていかないと伝える。

その後、こっそりクラスメイトやミアたちが準備していた終了後の野外パーティで自分が言いたかったことが伝わったことを知り、また自分を受け入れてくれるみんなに喜びを示す。


少しして、外務局の話も、叔父からの一緒にくらさないかとの話も断る。
前者は自分の親は愛してくれたモーリッツだから、後者は人とふれあい、喜びや悲しみを共有できる仕事につきたいのだと気づいたからと。

このときの彼女に迷いがないのは、やはり自分の原点で大切なものを分かったからこそですね。


そして、エステルがこの礼拝堂の責任者を継ぐことに。

その一方で最後まで隠されていたモーリッツの罪。
カレンは話せばエステルは赦してくれると言うが、モーリッツはそれを望まない。

「ならば、誰が貴方を救えるというのです」

カレンの言葉がとても悲しかったです。


エステルは本当の父親だと思っているとモーリッツに伝え、別れる。
飛行機が見える物見の丘公園の展望台から見送って。

最後にモーリッツがフィアッカという謎の人物に語る物語。

それは彼の娘が地球人との間に子供を作り、それを知ったモーリッツが二人を引き離し、さらに孫を礼拝堂に捨てて、そのショックで娘が死んでしまい、己の罪を悔い、礼拝堂の司祭との決して関係を明らかにしないという約束の元で孤児院で働くようになったということ。


それを永遠の命を記憶を持つフィアッカが覚えておくといったことで救われて、そのことでカレンに謝りながら、祈って終わる。

最後は伏線なのですかね。


基本的には内容的にも、キャラ的にも満足。
登場人物の間にも無駄がなく、ほとんど全員に意味が持たされていたかなと。これは後から追加されたものだからこそできるのでしょうね。

人の醜さをリアルに描きながらも、温かい心を印象に残したのはもう文句なしです。

エンディングで流れた「下弦の月 〜生まれ出づる明日〜」も心に染みました。

また、最後にエステルでなくモーリッツで終わらせたのは面白かったかなと。エステルのこれからをあえて描かないというのはそれだけの可能性があるということですし。(続編はありますが)